Archive for the ‘相続税’ Category

代襲相続人とは?

2026-09-01

代襲相続人とは何か

代襲相続人とは、本来相続人になるはずだった人が、相続開始以前に死亡していたり、一定の理由で相続権を失っていたりする場合に、その人の子が代わって相続する人をいいます。
たとえば、父が亡くなったとき、本来であれば子が相続人になります。しかし、その子が父より先に亡くなっていた場合、その亡くなった子の子、つまり父から見れば孫が代わって相続人になります。これが代襲相続です。

この制度は、相続人となるはずだった人の家系に相続の権利を引き継がせるためのものです。もし代襲相続がなければ、本来その家系が受け取るはずだった財産が、他の相続人だけに移ってしまうことになります。代襲相続は、そうした不公平を避ける役割を持っています。


代襲相続が起こるケース

代襲相続が発生する代表的なケースは、相続人となるはずだった人が被相続人より先に死亡している場合です。
また、相続欠格や廃除によって相続権を失った場合にも、代襲相続が認められることがあります。

一方で注意したいのは、相続放棄をした場合です。相続放棄をした人は、最初から相続人でなかったものとみなされるため、その子が代襲相続人になることはありません。ここは誤解されやすいのでご注意ください。


誰が代襲相続人になれるのか

代襲相続人になれる人は、誰でもよいわけではありません。
まず、被相続人の子が相続人となる場合、その子が先に亡くなっていれば、その子の子、つまり被相続人の孫が代襲相続人になります。さらに、孫もすでに亡くなっている場合には、ひ孫へと再代襲が認められます。つまり、直系卑属については下の世代へ順に引き継がれていきます。

これに対して、被相続人の兄弟姉妹が相続人となるケースでは、その兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合、その子、つまり被相続人の甥や姪が代襲相続人になります。ただし、兄弟姉妹の場合は一代限りで、甥や姪の子にまで再代襲は認められません。

この違いは実務上とても重要です。子の系統では再代襲があるが、兄弟姉妹の系統では一代限りです。


代襲相続人の相続分

代襲相続人の相続分は、本来その人の親が受け取るはずだった割合を引き継ぎます。
たとえば、被相続人に子が2人いて、そのうち1人がすでに亡くなっており、その亡くなった子に2人の子どもがいたとします。この場合、生きている子が2分の1、亡くなった子の系統が2分の1を受け取り、その2分の1を孫2人でさらに等分します。つまり孫はそれぞれ4分の1ずつ相続することになります。

代襲相続人は、単に「おまけで入る人」ではなく、法律上きちんと相続人として扱われます。そのため、遺産分割協議にも参加する必要がありますし、相続税の検討でも重要な存在になります。


代襲相続で注意したいポイント

代襲相続では、戸籍の確認が非常に重要です。誰が先に亡くなっているのか、その人に子がいるのか、再代襲があるのかを正確にたどる必要があるためです。相続関係が複雑になるほど、戸籍収集に時間がかかることも少なくありません。

また、相続放棄と代襲相続を混同しないことも大切です。先ほど触れたとおり、放棄した人の子には代襲相続は起こりません。さらに、遺言の内容によっては、法定相続とは異なる財産の分け方になる場合もあるため、代襲相続人に該当するかどうかと、実際にどの財産を取得するかは分けて考える必要があります。


まとめ

代襲相続人とは、本来相続人になるはずだった人に代わって相続する人のことです。主に、子や兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合に問題となります。
ポイントは、子の系統では孫・ひ孫へと再代襲があり得る一方、兄弟姉妹の系統では甥・姪までの一代限りであること、そして相続放棄では代襲相続が起こらないことです。

相続は家族関係によって結論が大きく変わる分野です。代襲相続人の仕組みを正しく理解しておくことで、誰が相続人になるのかを整理しやすくなり、遺産分割のトラブル防止にもつながります。

相続のマイナスの財産?債務控除って何?

2025-10-31

相続税に関する「債務控除」をご紹介いたします。遺産相続に関わる方にとっては知識として知っておきたい情報です。

相続税の申告において、どれくらい相続税が発生するかは誰しも気になるのではないでしょうか。 

相続税は亡くなった人が保有していた財産に応じて計算されます。基本的に財産が多くなればなるほど相続税は増加してしまいますが、財産を減らすことができる「債務控除」をご存じでしょうか。 

亡くなった方の財産を相続した場合、不動産や預金などのプラスの財産のほかに、借金などのマイナスの財産を相続することがあります。

相続税ではプラスの財産からマイナスの財産を差し引いて相続税を計算します。これを「債務控除」といいます。

債務控除により相続税が軽減できます。

1.債務控除とは?相続財産の「マイナス」も考慮する仕組み 

相続税は、被相続人の財産から債務や葬式費用などを差し引いた「課税価格」に対して課税されます。この差し引き部分が「債務控除」です。 

控除対象となる主な債務は以下の通りです: 

・借入金(亡くなった日の借入金の残高および未払利息など) 

・未払金(医療費・介護費・公共料金など) 

・未払税金(所得税・住民税・固定資産税など) 

・葬式費用(通夜・告別式・火葬・納骨など) 

・預かり敷金・前受金などの債務性のある負債 

債務控除の対象となる葬式費用の範囲は、亡くなってから納骨までの費用です。また、住民税や固定資産税は、1月1日現在で課税されます。1月1日以後の所有者が死亡した場合は、相続人が納税義務を引き継ぐことになります。したがって被相続人の死亡した年度の住民税や固定資産税は、納期が到来する前でも全額債務控除の対象となります。このような債務が存在している場合には、相続財産から控除することができる可能性があります。 

2.注意すべきポイントと否認リスク 

債務控除に関して、注意すべきポイントをご紹介いたします。 

・団体信用生命保険の付された住宅ローン 

・保証債務は原則控除不可 

※住宅ローンは金融機関からの借入金であるため債務として控除できます。しかし、団体信用保険の付された住宅ローンは、債務者(被相続人)の死亡により支払われる保険金でその債務が補填されることになるため、債務控除の対象とはなりません。相続人が有していた借入金などと性質が似ている部分がありますが、原則控除できないことに注意が必要です。債務保証は、主たる債務者が弁済不能で求償も見込めない場合は例外的に控除可能です。 

3.実務対応のポイント 

・債務の証拠を整理する請求書、領収書、契約書など揃える 

・親族間の金銭貸借は、贈与とみなされないよう、借用書・返済履歴を残しておく 

・葬式費用は領収書で裏付けする。通夜・告別式・火葬・納骨など、通常の範囲内であれば控除可能 

4. 債務控除対象とならない葬式費用など

葬式費用に入れたくなりますが、次のものは葬式費用にならないもので注意が必要です。

・香典返し(香典をいただいたことに対するお返しなので含まれません。)
・生花、盛籠等(喪主・施主負担分は葬式費用になります)
・位牌、仏壇、墓石の購入費用
・法事(初七日、四十九日)に関する費用
・その他通常葬儀に伴わない費用

遺言執行費用、相続税申告のための税理士報酬、相続登記のための登録免許税や司法書士業務報酬、戸籍収集のために支払う費用など亡くなった後に支払いが発生するものも債務控除になりません。

5. まとめ

債務控除は「確実性」と「証拠」がカギ 

債務控除は相続税額を抑える有効な手段ですが、安易な計上は税務署から否認されるリスクを伴います。「実際の債務が存在しているか」「証拠があるか」を丁寧に確認し、申告書に根拠を添えて記載することが肝要です。 

相続税の対策って何するの?

2025-07-31

相続対策とは何でしょうか。今回は、70歳の父親と68歳の母親の一人っ子明彦さん(40歳)のケースをもとに、どのような相続対策が必要なのか簡単に説明します。

父親が高齢になってきたものの、相続の話を切り出すきっかけがつかめない……。そんな悩みを抱える人は少なくありません。不動産など多くの資産を所有している場合、準備を怠ってしまうと相続税が高額になってしまいます。明彦さんは、相続対策を考えたいと相談に来られました。

父親の財産

父親の財産の総額は3億円あります。

預金と株で1億円の金融資産があり、生命保険にも2,000万円加入しているといいます。さらに不動産は、古い自宅と25年前に建築した4世帯ある賃貸アパートと投資用としてマンションの3部屋を所有しています。

相談内容

自宅の建物が古くなってきたことや両親の二人だけでは広いので、自宅を取り壊し、賃貸住宅に建て替えて、所有するマンションの1室に転居する案を考えているが、相続対策として有効なのか、進めたほうがいいかという相談内容でした。

建て替える予定の賃貸住宅は、4世帯を予定しており建築費は5,000万円とのこと。建築費は全額借り入れする予定だといいます。

相続税など節税対策のアドバイス

・自宅を取り壊して、賃貸住宅に建て替えれば、所得税について、不動所得所得は事業的規模になり経費などの計上が多く認められることになることや相続税においても十分な節税対策として効果あることを説明しました。建築費の借り入れも、家賃収入から十分返済見込みがあるので、計画通りに進めたほうが良いとアドバイスしました。

・所有するマンション3部屋は、1部屋は賃貸中なのですが、もう2部屋は貸すこともなく空室のまま所有しているということもわかりました。賃貸すれば貸家評価になり、小規模宅地等の特例も使えますので、自宅にする部屋以外の1部屋は家賃収入も入るし相続対策として賃貸することをアドバイスしました。

・これから賃貸収入が増えるようになること、父親母親はまだ元気ですぐに老人ホームなどの入居費用が必要ではないことなどの理由で、金融資産は評価が下がる不動産に変えたほうがいいこともアドバイスしました。

・賃貸している不動産は、築年数が経つと維持費がかかるため、維持するのに高額な費用が掛かるのであれば建て替えの検討も必要です。あるいは売却して買い替えも検討する必要があるとアドバイスしました。

・二次相続についても説明しました。二次相続とは、たとえば父親が亡くなった後に母親が亡くなった場合、母親が亡くなったことで発生する相続のことをいいます。二次相続は、一次相続より相続税が高くなるケースが多いなど、注意することが多くあることをアドバイスしました。

明彦さんは方向性が整理できたので、両親と相談して進めますと少し安心されたようでした。

まとめ

・預金などの金融資産は、不動産にすることで相続評価額が下がる。

・不動産を賃貸することでさらに不動産評価額は下げられ節税効果は得られる。

・空室で所有するよりも賃貸すれば家賃収入が増え相続税の節税効果がある。

・相続税は二次相続まで考える。

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