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退職金の税金における注意点を解説

2026-07-31

中小企業の退職金制度とは?節税メリットや注意点を税理士が解説

退職金制度は、従業員の福利厚生というイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし、中小企業においては、人材確保だけでなく、会社や経営者の節税対策としても重要な役割を果たします。

一方で、「退職金制度を導入したいが、どの制度を選べばよいかわからない」「退職金は経費になるのか」「役員退職金で節税できると聞いたが本当なのか」といったご相談も多くいただきます。

今回は、中小企業の退職金制度について、税務上のメリットや注意点を含めて解説します。


退職金制度とは

退職金とは、従業員や役員が退職する際に、その功績や勤続年数などに応じて支給される金銭です。

法律上、退職金制度の導入義務はありませんが、多くの企業では就業規則や退職金規程を整備し、制度を設けています。


中小企業が退職金制度を導入するメリット

1. 人材の確保・定着

退職金制度は、福利厚生の充実につながり、採用時のアピールポイントになります。

また、長期間勤務するほど退職金が増える仕組みにすることで、離職率の低下も期待できます。

2. 福利厚生の充実

退職後の生活を支える制度があることで、従業員の安心感や会社への信頼感が高まります。

3. 会社の節税につながる

退職金は、適正な金額であれば法人税法上の損金となります。

特に利益が大きく出た年度や、役員の退任時には、多額の退職金を支給することで法人税負担を軽減できるケースがあります。

ただし、税務上「不相当に高額」と判断された部分は損金に算入できないため、金額の妥当性が重要です。


退職金は受け取る側にも税制上のメリット

退職金は給与とは異なり、「退職所得」として課税されます。

退職所得には退職所得控除が設けられており、さらに控除後の金額の原則2分の1が課税対象となるため、同じ金額を給与や賞与として受け取る場合に比べて税負担が軽くなることが多いのが特徴です。

例えば、役員へ3,000万円を賞与として支給した場合と、適正な退職金として支給した場合では、会社・個人双方の税負担に大きな差が生じるケースがあります。


役員退職金は事業承継・世代交代にも有効

中小企業では、代表取締役の交代や親族への事業承継に合わせて役員退職金を支給するケースが少なくありません。

役員退職金には、

  • 法人では損金となる可能性がある
  • 個人では退職所得として税負担が軽減される
  • 経営者個人の老後資金を確保できる

というメリットがあります。

そのため、事業承継を検討する際には、株式の承継や相続対策と併せて退職金の支給を検討することが重要です。


中小企業で利用される主な退職金制度

中小企業退職金共済(中退共)

中小企業で最も利用されている制度の一つです。

会社が毎月掛金を納付し、退職時には中退共から従業員へ退職金が支給されます。

主な特徴は、

  • 掛金は全額損金(法人)または必要経費(個人事業)
  • 国が運営する安心感
  • 一定の要件で助成制度が利用できる
  • 管理の負担が比較的少ない

などが挙げられます。

毎月一定額を積み立てながら節税も図れるため、退職金制度を初めて導入する企業にも適しています。


役員退職金で注意すべきポイント

役員退職金は節税効果が期待できますが、金額を自由に設定できるわけではありません。

税務調査では、

  • 最終報酬月額
  • 在任期間
  • 功績
  • 同業他社との比較

などを踏まえ、「不相当に高額」でないかが確認されます。

また、株主総会等で正式な決議を行い、議事録を保存しておくことも重要です。


節税目的だけで退職金を設定するのは危険

「利益が出たから退職金を支給して税金を減らそう」と考える経営者もいますが、節税だけを目的として金額を設定すると、税務上認められないリスクがあります。

退職金は、

  • 退任の事実があること
  • 支給額に合理性があること
  • 社内手続が適切であること

が重要です。

税務上の要件を満たしたうえで制度を活用することが、結果として安全かつ効果的な節税につながります。


まとめ

退職金制度は、人材確保や福利厚生だけでなく、中小企業にとって有効な節税対策の一つです。

特に役員退職金は、法人・個人双方に税務上のメリットがある一方で、支給額や手続きを誤ると損金不算入となる可能性もあります。

退職金制度は「支給するとき」ではなく、「制度を設計するとき」から税務を意識することが重要です。

こちらの事務所では、退職金制度の導入支援、中小企業退職金共済(中退共)の活用、役員退職金の適正額シミュレーション、事業承継を見据えた退職金対策など、中小企業の状況に合わせたご提案を行っております。

退職金制度や節税対策についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

不動産を売却した際の取得費とは

2026-06-30

取得費とは?不動産売却時に押さえておきたい基本と具体例

不動産を売却したときの譲渡所得は、売却代金そのものに課税されるわけではありません。
税額計算のベースになるのは、売却によって得た収入から、その不動産の取得費譲渡費用を差し引いた金額です。

ここで重要になるのが取得費です。取得費とは、土地や建物を手に入れるためにかかった金額をいい、単なる購入代金だけではなく、取得時に必要となった各種費用や、その後に支出した設備費・改良費なども含まれます。

また、建物については購入金額や建築代金の全額がそのまま取得費になるわけではなく、原則として減価償却費相当額を差し引いた後の金額が取得費となります。

譲渡所得の計算方法

不動産を売却した場合の譲渡所得は、次の考え方で計算します。

  • 売却金額(収入金額)
  • から取得費を差し引く
  • さらに譲渡費用を差し引く

つまり、取得費が適切に把握できているかどうかで、最終的な譲渡所得の金額が変わることになります。
そのため、どの支出が取得費に含まれるのかを正確に整理しておくことが大切です。

取得費の基本的な考え方

取得費には、主に次のようなものが含まれます。

  • 土地や建物の購入代金
  • 建物の建築代金
  • 仲介手数料などの購入時費用
  • 設備の設置にかかった費用
  • 資産価値を高めるための改良費

ここでいう「取得に要した金額」とは、資産そのものの代金に加え、その資産を取得するために直接必要だった支出を含めた金額を指します。

設備費とは

設備費とは、不動産を取得した後に新たに付加した設備にかかった費用のことです。
たとえば、一定の設備を後から設置し、その資産の利用価値を高めたような場合が該当します。

改良費とは

改良費とは、取得後に行った工事や整備のうち、通常の修繕を超えて資産の価値や機能を高めるための支出をいいます。
単なる維持管理のための修繕費とは区別して考える必要があります。

取得費に含まれる主な支出

取得費に算入できる代表的なものとして、次のような費用があります。
ただし、すでに事業所得や不動産所得などの必要経費として処理しているものは、取得費に重ねて含めることはできません。

  • 不動産取得時に納めた登録免許税、登記費用、不動産取得税、特別土地保有税、印紙税
    ただし、業務用資産については、これらの税金が取得費に含まれない場合があります。
  • 賃借人がいる土地や建物を取得する際に、明渡しのために支払った立退料
  • 土地の埋立て、土盛り、地ならしなどに要した造成費
  • 土地の測量費
  • 所有権その他の権利を確保するために必要となった訴訟費用
    たとえば、権利関係に争いのある土地を取得した後、その紛争を解決して所有権を確定させるためにかかった費用などがこれに当たります。
    ただし、相続財産の遺産分割をめぐる訴訟費用は取得費にはなりません。
  • 建物付き土地を購入し、当初から土地利用を目的としており、取得後おおむね1年以内に建物を取り壊した場合の建物購入代金や取壊費用
  • 不動産取得のための借入金利子のうち、その不動産を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分
  • 既存の購入契約を解除して別の物件を取得することにした場合に支払う違約金

土地を売却するための立退料や建物取壊費用はどう扱う?

土地を売却するにあたり、借家人に立退料を支払ったり、建物を取り壊したりするケースがあります。
このような支出が必要経費になるのか、それとも取得費になるのかは迷いやすいポイントです。

結論として、これらの費用は譲渡所得の計算上、取得費として控除されると考えられます。
一方で、不動産所得の必要経費として処理するものではありません。
なぜなら、これらは賃貸経営のための支出ではなく、土地を譲渡するために必要となった支出だからです。

通達上の考え方

税務上も、一定の場合には次のような整理が示されています。

  • 建物付き土地を取得し、当初から土地利用を目的としていて、取得後おおむね1年以内に建物を取り壊した場合
    → 建物の取得に要した金額と取壊費用の合計額は、土地の取得費として取り扱う考え方があります。
  • 土地や建物の取得にあたり、その不動産を使用していた人に支払った立退料など
    → その土地や建物の取得費として扱う考え方があります。

遺産分割に関する訴訟費用・弁護士費用

相続に関連して発生する費用でも、すべてが取得費になるわけではありません。
特に、遺産分割をめぐって相続人同士が争い、その解決のために支出した訴訟費用や弁護士費用は、一般に相続人間の紛争対応のための支出と考えられます。

そのため、こうした費用は通常、取得費には算入されません。

贈与・相続・遺贈で取得した不動産の取得費

不動産を購入ではなく、贈与・相続・遺贈によって取得した場合でも、一定の費用は取得費に含めることができます。

対象となる取得原因

  • 贈与
  • 相続
  • 遺贈

算入できる費用の考え方

受贈者や相続人などが、その資産を取得するために通常必要と認められる費用を負担している場合には、取得費に含められる可能性があります。
ただし、すでに必要経費として処理済みのものは除かれます。

具体例

たとえば、次のような費用は取得費に含められる代表例です。

  • 登記費用
  • 名義変更にかかる費用
  • 登録免許税
  • 不動産取得税

概算取得費を使う場合の注意点

譲渡所得の計算で概算取得費を適用する場合には、相続登記費用や名義変更費用などを個別に取得費へ加算することはできません。
実額で計算するのか、概算取得費を使うのかによって扱いが変わるため、注意が必要です。

借地権の取得費

借地権についても、取得費には権利金のような明確な対価だけでなく、契約や利用のために支出した一定の費用が含まれます。

主なものは次のとおりです。

  • 借地契約や転貸借契約の締結、更新、更改にあたり、借地権の対価として土地所有者または借地権者に支払った金額
  • 土地上の建物などを取得した場合に、その購入代価のうち借地権の対価に相当すると認められる部分
  • 借りた土地を改良するために行った土盛り、地ならし、埋立てなどの整地費用
  • 借地契約の締結に伴って支出した手数料その他の費用
  • 建物の増改築にあたり、土地所有者または借地権者に支払った費用

なお、建物等の購入代価のうち借地権相当額が、おおむね建物購入代価の10%以下である場合には、あえて区分せず建物の取得費に含める取扱いが認められることがあります。

まとめ

取得費は、不動産売却時の譲渡所得を計算するうえで非常に重要な要素です。
購入代金だけでなく、税金、立退料、造成費、測量費、一定の訴訟費用、取壊費用など、取得や利用のために直接必要だった支出が含まれる場合があります。

一方で、遺産分割に関する争いの費用のように、取得費に含まれないものもあります。
また、相続や贈与で取得した不動産、借地権のように、ケースごとに判断が分かれる論点も少なくありません。

青色事業専従者給与ってなに?

2026-02-01

青色事業専従者給与について

個人事業主にとって、家族に支払う給与を経費にできる「青色事業専従者給与」は、非常に強力な節税制度です。しかし、制度の理解不足や手続き漏れにより、税務調査で否認されるケースが多い項目でもあります。この制度を上手く利用するために青色事業専従者給与の基本から、実務で特に注意すべきポイントまで解説します。下記にもありますが、提出期限が適用を受けたい年の3月15日までとなるため、2026年分の適用に向け、早めに準備しておきましょう。


1. 青色事業専従者給与とは

青色申告者が、生計を一にする配偶者や親族に支払う給与を、一定の要件を満たす場合に限り必要経費にできる制度です。通常、家族への給与は経費になりませんが、この制度を使うことで節税効果が期待できます。


2. 青色事業専従者として認められる要件

青色事業専従者となるためには、以下のすべてを満たす必要があります。

  • 青色申告者と生計を一にする親族であること
  • 年齢が15歳以上(その年12月31日現在)
  • その年の6か月超、事業に専ら従事していること

※ 他に本業がある場合、専ら従事していないため原則不可(学生も学業が主のため原則不可)


3. 必要経費にするための手続き

青色事業専従者給与を経費にするには、事前に届出書の提出が必須です。

● 提出書類:「青色事業専従者給与に関する届出書」

● 提出期限:「適用を受けたい年の3月15日まで」 

※新規開業・新たに専従者が発生した場合:発生から2か月以内

また、青色事業専従者給与を活用する際は、「節税ありき」で制度を使わないことが重要です。税務署は形式だけでなく、実態が伴っているかを重視します。例えば、業務内容が曖昧なまま高額な給与を設定している場合や、勤務実態を説明できない場合は、税務調査で否認されるリスクが高まります。そのため、日々の業務内容を簡単にメモしておく、業務分担を明確にしておくといった対応が有効です。

さらに、青色事業専従者給与を支払うことで、専従者本人には給与所得が発生します。その結果、住民税や社会保険の加入判定に影響する場合もあります。特に配偶者の場合、配偶者控除・配偶者特別控除が使えなくなるケースもあるため、世帯全体で見た税負担を事前にシミュレーションしておくことが大切です。

節税効果だけで判断するのではなく、事業の実態・家計全体への影響を踏まえて制度を選択することで、青色事業専従者給与は「安心して使える節税策」になります。


4. 給与額の決め方

給与額は、労務の対価として相当であること(適正額)が必要です。

● 適正額の考え方

  • 同業他社の給与水準
  • 実際の勤務時間・職務内容
  • 事業規模とのバランス

税務調査では、「過大ではないか」が最もよく指摘されるポイントです。同様の仕事をしていても、親族に対する支払いのため、通常の従業員と比べ過大な水準と判断されるケースなどでは、その超過部分は必要経費として認められない可能性があります。


5. 実務で特に注意すべきポイント(税務調査で狙われやすい)

① 届出書の未提出

提出がない場合、全額が必要経費として否認されます。

② 実際に支払っていない

帳簿上だけの計上は不可。銀行振込など、支払事実が確認できる形が記録を残しておきましょう。

③ 給与額が働きぶりに見合っていない

実際の勤務時間が少ない場合や、他の仕事をしている、事業規模に比べて給与が高すぎる場合は否認される可能性があります。

④ 給与支払簿・源泉徴収の不備

給与支払簿の未作成、源泉徴収漏れ、年末調整の誤りなどがある場合は作成しておきましょう。青色事業専従者給与も一般の給与と同様、源泉徴収義務があります。

なお、令和8年度では月額105,000円未満まで、源泉徴収税額は発生しません。(令和7年度は月額88,000円未満)


6. 白色申告との違い

白色申告の場合、家族への給与は経費にできませんが、代わりに事業専従者控除が使えます。

区分青色申告白色申告
家族給与の経費算入可能(要件あり)不可
控除制度なし配偶者86万円、その他50万円まで控除可
届出必要不要

7. 青色事業専従者給与を活用すべきケース

  • 家族が事業にフルタイムで関わっている
  • 事業規模が大きく、労務負担が明確
  • 所得分散による節税効果が見込める
  • 家族への正当な対価を明確にしたい

8. まとめ

青色事業専従者給与は、個人事業主にとって非常に有効な節税手段ですが、要件・手続き・実態の3点が揃って初めて認められる制度です。制度を正しく理解し、利用することで節税しましょう。

不動産を売却した際の譲渡費用とは

2025-12-31

譲渡所得の計算である譲渡費用について項目ごとに解説いたします。

譲渡費用とは

譲渡費用は、所得税基本通達33-7に定められています。

所得税基本通達33-7
法第33条第3項に規定する「資産の譲渡に要した費用」(以下33-11までにおいて「譲渡費用」という。)とは、資産の譲渡に係る次に掲げる費用(取得費とされるものを除く。)をいう。

(1)資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用
(2)(1)に掲げる費用のほか、借家人等を立ち退かせるための立退料、土地(借地権を含む。以下33-8までにおいて同じ。)を譲渡するためその土地の上にある建物等の取壊しに要した費用、既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除したことに伴い支出する違約金その他当該資産の譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用
(注) 譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持又は管理に要した費用は、譲渡費用に含まれないことに留意する。

資産を売るために「直接かかった費用」のことです。
譲渡所得は次の式で計算します。

譲渡所得 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)

つまり、譲渡費用は税金を計算する際に差し引ける費用です。

主な譲渡費用の例

不動産を売った場合

  • 仲介手数料(不動産会社に支払ったもの)
  • 売買契約書の印紙税
  • 建物の取壊し費用(売るために行った場合)
  • 測量費・境界確定費用
  • 立退料(売却のために支払ったもの)
  • 売却に伴う広告費

株式・投資信託などの場合

  • 売却時の売買手数料
  • 証券会社に支払った諸費用

譲渡費用に含まれないもの(重要)

次のようなものは原則、譲渡費用になりません

  • 固定資産税・都市計画税
  • 修繕費・リフォーム代(維持・管理目的のもの)
  • 引っ越し費用
  • 所得税・住民税
  • ローンの利息
  • 税理士費用

※「売るために直接必要だったか」が判断基準です。

「売るために直接必要だったか」と判断できれば、弁護士費用、旅費交通費なども譲渡費用として認められる場合があります。

質問が多いので、ちょっと説明すると
最初に掲げた所得税基本通達33-7の注意書きにあるように、修繕費・リフォーム代・ハウスクリーニング費用は譲渡費用には該当しません。維持・管理目的ではなく有益なリフォーム費用等は譲渡費用に該当する可能性があると思います。例えば、買主の要望等による修理が必要だった修繕費などは「売るために直接必要だったか」と判断できます。

なお、冷暖房設備などのエアコンの購入代金などリフォーム費用のうち設備費又は改良費に該当する部分は、譲渡費用ではなく、取得費になります。

取得費との違い

  • 取得費:買ったときにかかった費用購入代金
     例)購入代金、購入時の仲介手数料、登記費用
  • 譲渡費用:売るときにかかった費用
     例)売却時の仲介手数料、印紙税

取得費が不明な場合

古い不動産などで購入した際の資料がない場合は、概算取得費という計算方法があります。

売却価格 × 5%

を取得費として使えます(税法上認められています)。

実額が分かるなら実額の方が有利なことが多いです。

不動産会社に支払う仲介手数料は、取得時に支払ったものは取得費になり、譲渡時に支払ったものは譲渡費用になるので注意してください。収入印紙も取得時に支払ったものは取得費になり、譲渡時に支払ったものは譲渡費用になります。

実務上の注意点

  • 領収書・契約書は必ず保管
  • 売却と直接関係があることを説明できるようにする
  • 不明な費用は「取得費か譲渡費用か」で迷いやすい

確定申告でお急ぎの方はお電話にてお問い合わせいただけます。事前にお問い合わせしていただければ、土日祝日も対応いたします。

初回面談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

経費計上の可否判断について

2025-08-31

これって経費に計上できるか?事業をされている方にとって、この支出は経費に計上できるの?と疑問を持たれるケースは少なくないかと思います。税務における経費計上は、一歩間違えると税務署の調査官から否認されてしまうと追加課税の対象にもなり、加算税・延滞税も支払うことになる場合があります。本記事では、経費としてよいかの判断基準を簡単にご紹介いたします。 

1.経費とは何か? 

経費とは、商品などの製造に必要な原材料や購入費、運搬費などです。電気代、電話代など、事業の運営に必要な支出などのことです。経理担当者は、経費として認められるもの・認められないものの違いをしっかりと区別する必要があります。事業の経費は、売上を得るために直接・間接に必要な支出のことです。 
つまり、その売上を得るためにはその経費が必要かどうかということになります。なお、個人事業主の場合、売上から経費を差し引いた額が所得となるため、自分の給与を経費として計上することはできません。 

2.経費計上の3原則 

経費計上のポイントは、下記「事業との関連性」「金額の妥当性」「支出の証拠」を満たすかどうかの判断が必要となります。 

①事業関連性 

 売上を得るために必要なものか。私的な費用ではないか。 

②金額の妥当性 

 社会通念上、妥当な金額か。必要以上に高額でないか。 

③支出の証拠 

 レシートや領収書などの証憑が残っているか。 

3.税務署の調査官から指摘を受けやすい代表例 

基本的には、私的な費用は経費とは認められません。事業のみに必要な費用は経費として計上できます。例えば、下記のような支出は税務調査官から質問されやすい経費になります。 

・交通費 本当に仕事のために移動した電車代や高速代、出張代なのか。仕事のため移動するかどうか明確ではなく、私的な移動も含まれているもの。 

・携帯代 プライベートではないのか。本当に仕事のために利用している携帯代なのか。プライベートの携帯を仕事にも利用しているもの。 

・飲食代 家族と行ったものではないのか。本当に取引先や得意先との食事代や営業先の相手との食事代なのか。私的と考えられる食事代が含まれているもの。 

私的な費用と業務上の費用とが明確に区分できない費用は経費として認められない可能性が高まります。このような点を踏まえて、税務署の調査の際、回答できるように準備しておきましょう。 

4.実務で押さえておきたいポイント 

  • 支出の目的や必要性を資料化しておく 
  • 領収書・契約書・議事録・写真などの証拠を保存 
  • 支出が事業用と私的用に混在する場合は合理的な按分が必要 

(例えば、自宅を事業所として使用している場合、家賃や光熱費をすべて経費として計上することはできません。自宅の面積に占める作業スペースの割合などをもとに家事按分して計上します。) 

  • 経費となるかどうかの判断が難しい経費は税理士に相談 

まとめ 

 経費が増えれば、納める税金が少なくなります。経費を計上する際には、仕事と私的であるプライベートの支出を区別しましょう。万が一税務署の調査があった場合にも、調査官に対し「仕事に必要な経費であることをきちんと説明できるかどうか」がポイントになります。経費計上は「判断根拠」と「証拠保存」が必要ですので、まずは支出を上記ポイントに照らし合わせてみましょう。経費計上に関して税務署での実務経験を基にご相談させていただきますので、お気軽にお問い合わせください! 

年末調整で出し忘れた場合、確定申告書はいつまで提出できるの?

2025-06-27

「確定申告」とは

確定申告とは、前年1月1日から12月31日までの1年間の収入と経費を差し引いて所得を計算し、確定申告することです。例えば、令和6年1月1日から12月31日の1年間の令和6年分は、令和7年3月17日(令和7年3月15日は土曜日だったため)までが確定申告の期間になります。自営業、フリーランスや家賃収入がある人は、基本的に毎年確定申告を行う必要があります。

会社員や公務員の人は、勤務先で年末に生命保険料控除の証明書や家族の扶養状況を会社に提出することで「年末調整」を行います。

年末調整を行った際、源泉徴収が多すぎた場合、12月や1月の給料で返ってくるため、会社で年末調整してもらっているので基本的に確定申告は不要です。

しかし、年末調整の資料提出の締切りに間に合わなかった分や、医療費控除など年末調整ではできないものは確定申告しないと税金を取り戻せません。

ケース別にみていきましょう。

1.勤務先の年末調整に間に合わなかった場合や提出し忘れた場合

早い会社だと11月初旬までに年末調整の書類の提出を求められます。しかし、その後に年末調整の書類が届いたり出し忘れていた場合です。確定申告を提出すれば、控除を受けることができます。年末に結婚した場合や子どもが生まれたとき場合も年末調整しないと控除額が大きいので注意しましょう。また、別居している親に相当の金額を送金している場合も控除額を受けれる場合があるので注意しましょう。

最近の場合、年末調整の書類を出し忘れて基礎控除を受けていなかったということもあるので注意してください。

2.年末調整では手続きできないケース

勤務先に提出する年末調整の書類に記載欄がない控除は、自分で確定申告する必要があります。「雑損控除」、「医療費控除」、「寄付金控除」です。

  • 雑損控除…火災、水害などの災害や盗難などにあった場合に受けられる控除
  • 医療費控除…自分と家族の医療費を10万円以上支払った場合受けられる控除

※医療費控除を受ける年の所得金額が200万円未満の人は、支払った医療費から所得金額の5パーセントの金額を差し引いた金額になります。

  • 寄附金控除…ふるさと納税など特定の市町村・団体に寄付した場合の控除

※ふるさと納税はワンストップ特例を利用した場合、確定申告は不要です。しかし、医療費控除など確定申告することになった場合は、ワンストップ特例は無効になり、ふるさと納税の分も合わせて確定申告書に記載しないといけないので注意してください。

「医療費控除」は、領収書をもらった金額だけでなく、往復の交通費も加算できます。ただし基本的にタクシー代や自家用車の駐車場代、ガソリン代は含めることはできません(やむを得ずタクシーを利用せざるを得ない場合は対象になることもあります)。公共交通機関の運賃のみですが、計算してみると大きな金額になります。

また、補てん金などの生命保険金を受け取った場合は、その金額分は控除できませんので注意しましょう。

まとめ

年末調整で提出し忘れていた場合などは、その年分について確定申告書を提出することができる場合があります。対象になる年の翌年1月1日から5年間提出することができるので、この5年間で提出し忘れてなかったか確認してみましょう。

確定申告の必要がない方(自営業や家賃収入がある人以外など)の還付申告は、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間行うことができます。例えば、令和2年分の確定申告をしていなかった場合、令和7年12月31日まで申告することができます。同様に、令和6年分については、令和7年1月1日から令和11年12月31日まで申告することができます。

退職金の税金ってどうやって計算するの?

2025-05-07

退職金とは、退職時に会社から支払われる一時的な賃金で退職手当や退職慰労金とも呼ばれます。退職金を受け取る際には税金がかかる場合がありますが、退職金には税負担を軽減するための特別な計算方法が適用されます。

退職金の税金はどのように計算されるでしょうか。簡単に基本的な仕組みを説明いたします。

退職金の計算は通常の給与とは異なり、「退職所得」として課税される「分離課税」として、所得税・住民税を計算します。

なお、今回の計算では、復興特別所得税(2.1%)は考慮いたしません。

「分離課税」の場合、給与所得である給与や雑所得である年金などと別に計算されます。退職金は、人生で1回または数回しか受け取らないため、税負担を軽減するための特別な計算がされるのです。具体的には、退職金から退職所得控除を差し引くのですが、勤続年数が長いほど控除額が多くなります。差し引いた金額から2分の1に減額し、「課税退職所得金額」として計算し、所得税・住民税が計算されます。

「退職所得控除」とは、

● 勤続年数が20年以下の場合:40万円 × 勤続年数(最低80万円)

● 勤続年数が20年を超える場合:800万円+70万円 ×(勤続年数ー20年)

で計算されます。

■退職金にかかる税金の計算方法

「課税退職所得金額」は、以下の式で算出します。

課税退職所得金額(1000円未満切り捨て)=(退職金ー退職所得控除額)÷ 2

この課税退職所得金額に応じて、税率と控除額が適用されます。

所得税額

課税退職所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

住民税額:課税退職所得金額 × 10%(一律適用)

■令和5年12月に内閣官房内閣人事局が発表した「退職手当の支給状況」によると、国家公務員が定年まで勤めた場合の退職金平均額は2,112万円です。

勤続年数38年のケースで、退職金2,122万円の税額をシミュレーションしてみましょう。 退職所得控除:800万円+70万円 ×(38年ー20年)=2,060万円

課税退職所得金額:(2,122万円−2,060万円)÷ 2=31万円

税額表に当てはめて計算すると、所得税と住民税はそれぞれ以下の税額になります。

所得税:31万円×5%=15,500円

住民税:31万円×10%=31,000円

所得税と住民税の両方で46,500円となります。

この様に退職金は、税負担を軽減するための特別な計算がされるのです。

■「退職所得の受給に関する申告書」を提出する。

退職金を受け取る際、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合、一律20.42%の所得税が源泉徴収されます。 退職金2,122万円の場合には、2,122万円×20.42%なので、4,333,124円が税金として引かれてしまいますので注意してください。

なお、確定申告書に退職金を記載して提出すれば、ちゃんと還付金として受け取ることができますのでご安心下さいませ。

■退職時期の調整

家賃収入がある人や退職後に個人で事業を始めようとする場合などは、退職金を受け取るタイミングを調整することによって税金を軽減できるかもしれません。

■退職金と相続税の関係

死亡後に受け取る退職金は、所得税ではなく相続税の対象です。ただし、すべての金額に相続税がかかるわけではなく、次の計算式で非課税枠が設定されています。

500万円 × 法定相続人の数=非課税枠

例えば、法定相続人が配偶者と子2人の計3人のケースでは、500万円 × 3人 = 1500万円まで非課税となり、それを超える部分に対して相続税が課されます。

まとめ

〇退職金とは、退職時に会社から支払われるもので、税負担を軽減するための特別な計算方法が適用される。

〇国家公務員が定年退職でもらう平均額2,112万円で勤続年数38年のケースでは、所得税と住民税の両方で46,500円となる。

〇「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出する。

〇死亡後に受け取る退職金は、相続税の対象になる。

日本年金機構から公的年金等の源泉徴収票が発送されました。

2025-01-21

日本年金機構から「令和6年分公的年金等の源泉徴収票」が令和7年1月8日(水曜)から16日(木曜)にかけて、順次送付されました。年金の源泉徴収票は、もうお手元に届いているのではないでしょうか。お手元に届いたら、確定申告が必要か必要でないか悩む人も多いでしょう。

申告が不要でも還付金がある。

よく、公的年金等の収入金額が400万円以下なら必要ないとか、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下なら必要ないと言われていますが、確定申告したら税金が還付される人もいます。例えば、自分は公的年金等の収入金額が400万円以下だから申告しなくても良いと思っていたら注意が必要です。年金から源泉徴収されていたら申告が不要でも、申告したら税金が戻ってくることもあります。

申告不要制度とは

年金受給者の確定申告が不要となる条件の1つ目は、「公的年金などの収入金額が年間400万円以下」の場合です。厚生労働省年金局の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」から考えるに「公的年金等の収入が年間400万円以下」はかなり多いと思われます。

確定申告が不要となる2つ目は、「公的年金等に係る雑所得以外の所得が年間20万円以下」の場合です。公的年金等に係る雑所得以外の所得には、給与や副業収入、不動産収入などが含まれます。

年金受給者で確定申告が必要な人

公的年金などの収入金額が年間400万円を超える人は、確定申告が必要です。また、年金を受け取りながら会社勤めをしている人や副業をしている人、不動産収入がある人は注意が必要です。これらの所得が20万円以上ある場合、確定申告が必要となります。

確定申告が必要な場合、令和7年2月17日から3月17日までに確定申告が必要です。

特に初めて確定申告をおこなう人は、慣れない手続きに時間がかかる可能性があります。

ぜひ、時間に余裕をもって確定申告の手続きを進めてみてください。

e-Taxの送信方式には「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2つがあるので、利用の環境に応じて選択しましょう。e-Taxではなく、従来通り確定申告書を印刷して、郵送でも税務署に提出することができます。

年金受給者で確定申告が不要な人でも、住民税の申告が必要になる場合があります。社会保険料の算定など、申告が必要になるかどうか、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。

まとめ

令和6年分の公的年金等の源泉徴収票は1月8日(水)から16日(木)に発送されました。

申告が不要でも確定申告をしたら税金が戻ってくることもある。

確定申告は、令和7年2月17日から3月17日までの期間です。

申告が不要でも住民税の申告が必要な場合がある。

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