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青色事業専従者給与について
個人事業主にとって、家族に支払う給与を経費にできる「青色事業専従者給与」は、非常に強力な節税制度です。しかし、制度の理解不足や手続き漏れにより、税務調査で否認されるケースが多い項目でもあります。この制度を上手く利用するために青色事業専従者給与の基本から、実務で特に注意すべきポイントまで解説します。下記にもありますが、提出期限が適用を受けたい年の3月15日までとなるため、2026年分の適用に向け、早めに準備しておきましょう。
1. 青色事業専従者給与とは
青色申告者が、生計を一にする配偶者や親族に支払う給与を、一定の要件を満たす場合に限り必要経費にできる制度です。通常、家族への給与は経費になりませんが、この制度を使うことで節税効果が期待できます。
2. 青色事業専従者として認められる要件
青色事業専従者となるためには、以下のすべてを満たす必要があります。
- 青色申告者と生計を一にする親族であること
- 年齢が15歳以上(その年12月31日現在)
- その年の6か月超、事業に専ら従事していること
※ 他に本業がある場合、専ら従事していないため原則不可(学生も学業が主のため原則不可)
3. 必要経費にするための手続き
青色事業専従者給与を経費にするには、事前に届出書の提出が必須です。
● 提出書類:「青色事業専従者給与に関する届出書」
● 提出期限:「適用を受けたい年の3月15日まで」
※新規開業・新たに専従者が発生した場合:発生から2か月以内
また、青色事業専従者給与を活用する際は、「節税ありき」で制度を使わないことが重要です。税務署は形式だけでなく、実態が伴っているかを重視します。例えば、業務内容が曖昧なまま高額な給与を設定している場合や、勤務実態を説明できない場合は、税務調査で否認されるリスクが高まります。そのため、日々の業務内容を簡単にメモしておく、業務分担を明確にしておくといった対応が有効です。
さらに、青色事業専従者給与を支払うことで、専従者本人には給与所得が発生します。その結果、住民税や社会保険の加入判定に影響する場合もあります。特に配偶者の場合、配偶者控除・配偶者特別控除が使えなくなるケースもあるため、世帯全体で見た税負担を事前にシミュレーションしておくことが大切です。
節税効果だけで判断するのではなく、事業の実態・家計全体への影響を踏まえて制度を選択することで、青色事業専従者給与は「安心して使える節税策」になります。
4. 給与額の決め方
給与額は、労務の対価として相当であること(適正額)が必要です。
● 適正額の考え方
- 同業他社の給与水準
- 実際の勤務時間・職務内容
- 事業規模とのバランス
税務調査では、「過大ではないか」が最もよく指摘されるポイントです。同様の仕事をしていても、親族に対する支払いのため、通常の従業員と比べ過大な水準と判断されるケースなどでは、その超過部分は必要経費として認められない可能性があります。
5. 実務で特に注意すべきポイント(税務調査で狙われやすい)
① 届出書の未提出
提出がない場合、全額が必要経費として否認されます。
② 実際に支払っていない
帳簿上だけの計上は不可。銀行振込など、支払事実が確認できる形が記録を残しておきましょう。
③ 給与額が働きぶりに見合っていない
実際の勤務時間が少ない場合や、他の仕事をしている、事業規模に比べて給与が高すぎる場合は否認される可能性があります。
④ 給与支払簿・源泉徴収の不備
給与支払簿の未作成、源泉徴収漏れ、年末調整の誤りなどがある場合は作成しておきましょう。青色事業専従者給与も一般の給与と同様、源泉徴収義務があります。
なお、令和8年度では月額105,000円未満まで、源泉徴収税額は発生しません。(令和7年度は月額88,000円未満)
6. 白色申告との違い
白色申告の場合、家族への給与は経費にできませんが、代わりに事業専従者控除が使えます。
| 区分 | 青色申告 | 白色申告 |
| 家族給与の経費算入 | 可能(要件あり) | 不可 |
| 控除制度 | なし | 配偶者86万円、その他50万円まで控除可 |
| 届出 | 必要 | 不要 |
7. 青色事業専従者給与を活用すべきケース
- 家族が事業にフルタイムで関わっている
- 事業規模が大きく、労務負担が明確
- 所得分散による節税効果が見込める
- 家族への正当な対価を明確にしたい
8. まとめ
青色事業専従者給与は、個人事業主にとって非常に有効な節税手段ですが、要件・手続き・実態の3点が揃って初めて認められる制度です。制度を正しく理解し、利用することで節税しましょう。

国税の現場で約33年間、幅広い業種の調査や審査に携わってきた経験を活かし、「関口クラウド税理士事務所」を開業しました。
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