消費税は事業者が納税する代表的な税の一つですが、「自分も申告しなければならないのか?」という疑問を持つ方も多いはず。消費税の納付税額の計算は、預かった消費税から支払った消費税(控除対象仕入税額)を差し引いて求めますが、この支払った消費税の計算(仕入税額控除といいます)を行うにあたり必要な手続要件として「インボイス制度」=「適格請求書等保存方式」が導入されました。この記事では、消費税を申告する義務がある人について、簡単に分かりやすくご説明します。
このページの目次
1.申告義務がある事業者とは?
インボイスとは、一昔前、「貿易業務に使用される送り状、納品書」でした。日本でインボイスという言葉が流行る前は貿易業務に使用される送り状、納品書のことを言っていました。ここでいう「インボイス制度」とは2023年(令和5年)10月より導入される消費税の仕入税額控除の際に必要となる手続要件のことで、「適格請求書等保存方式」と呼ばれます。
以下のような方々には、消費税の申告義務があります。
・インボイスに登録した方
税務署にインボイスの登録申請書を提出し、適格請求書を交付することができる事業者として登録を受けた事業者をいいます。以下に説明する1000万円を超えていなくても消費税の申告が必要になります。
・課税売上高が1,000万円を超えた事業者
前々年(もしくは前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、その年の消費税申告が必要になります。
例えば、2025年の課税売上高が1,030万円だった場合、2年後の2027年については消費税を申告する必要があります。2027年の課税売上が1,000万円を下回っていた場合でも2年前の2025年の課税売上が1,000万円を超えていることから、消費税の申告が必要となりますのでご注意ください。
・新規開業者で、一定の要件に当てはまる方
特定期間(開業初年度の半年など)における給与支払額や売上に基づき、申告義務が発生する場合があります。
例えば、2025年7月に開業した場合において2025年12月までの半年間の給与支払額や売上額が1,000万円を超えるような場合には、その翌年となる2026年から消費税の申告が必要となる場合がありますのでご注意ください。
・課税事業者の選択をした方
売上が1,000万円以下でも、自ら課税事業者になることを選択した場合は申告義務があります。
例えば、課税事業者になるための届出書を税務署に提出した場合には申告義務が発生します。
2. 申告不要のケース
以下の場合、インボイスに登録しなければ基本的に消費税の申告義務はありません
- 課税売上高が1,000万円以下で、課税事業者の選択をしていない場合
- 年間売上が少ない副業などで、個人事業主に該当しない場合
3.申告しないとどうなる?
申告義務があるにもかかわらず、申告を怠ると以下のようなペナルティが課される可能性があります
- 延滞税や加算税の発生
- 税務調査による追徴課税
- 信用情報への影響など
4.最後に
・インボイス制度は2023年(令和5年)10月に開始し、適格請求書(インボイス)を売手が買手に発行して、どちらも適格請求書を保存することで消費税の仕入税額控除が適用されます。つまり、仕入税額控除を行うためには適格請求書の発行が必要で、適格請求書を発行するためにはインボイス発行事業者への登録が必要です。
・免税事業者の方はインボイスを交付できませんので、取引先(売上先)は仕入税額控除ができません。しかし、取引先(売上先)には経過措置があり、当面は免税事業者からの仕入税額の一定割合は、仕入税額控除が可能なので、全く仕入税額控除できないわけではありません。
・消費税申告の対象になるかどうかは、事業の規模や状況によって変わります。「自分は申告の必要があるのか?」と迷ったら、税理士へお気軽にご相談ください。安心してビジネスを進めるためにも、申告義務の有無をしっかり確認しておきましょう。

国税の現場で約33年間、幅広い業種の調査や審査に携わってきた経験を活かし、「関口クラウド税理士事務所」を開業しました。
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